「火災保険が来秋にも値上げへ」。2018年11月13日付けの日本経済新聞に掲載されました。
損害保険会社大手3社の自然災害の保険金支払いが、台風21号や西日本豪雨の被害などにより今年は1兆円規模になるため、損保各社は保険金支払増を受けて、来年2019年秋に火災保険の保険料を4年ぶりに引き上げることになりました。
今回の値上げの背景や今後トクするためのポイントを4つに絞ってお伝えしたいと思います。
2018年の地震・台風被害状況から見て取れる今後の日本
今年起こった台風や西日本豪雨の災害件数や保険金支払いについて
2018年7月~9月の台風21号や西日本豪雨による度重なる天災被害について、現時点での保険事故受付件数はすべての災害件数を合わせて54万件にも及んでいます。以下のデータは9月12日時点での被害・保険金支払い状況ですが、今後さらに被害報告や保険金支払いが発生することが予想されます。
平成30年7月豪雨の全国被害状況【9月12日現在:日本損害保険協会・外国損害保険協会会員会社等合計】
事故受付件数
(件) |
支払件数
(件) |
支払保険金
(千円) |
|
車両保険
(商品車含む) |
26,739 | 24,806 | 27,218,940 |
火災保険 | 31,036 | 25,609 | 130,008,257 |
新種保険
(傷害保険含む) |
5,066 | 4,499 | 8,479,345 |
合計 | 62,841 | 54,914 | 165,706,542 |
出典:日本損害保険協会
7月に起きた西日本豪雨では、各地で記録的雨量を記録し、住宅の床上浸水や屋根からの雨漏りなどの被害のほかに、多くの自動車が水没するなど自動車の被害も多かったことが特徴的でした。降り始めの6月28日から7月8日までの積算雨量は、高知県、徳島県、岐阜県、長野県の4県15のアメダス地点では何と1000ミリを超えました。大阪府の年間の雨量が1279ミリですので、たった11日で1年分近くの雨が降ったことになります。
平成30年7月豪雨の被害状況 関西圏の主要都市別の事故状況(9月12日現在)
車両保険・火災保険・新種保険(傷害保険含む)すべての合計
都道府県 | 事故受付件数 | 支払件数 | 支払保険金 |
京都府 | 2,315 | 1,986 | 3,525,686 |
大阪府 | 1,906 | 1,396 | 1,183,519 |
兵庫県 | 2,728 | 2,096 | 2,507,605 |
和歌山県 | 681 | 577 | 1,073,666 |
出典:日本損害保険協会
また、関西地方でも同様の被害が起こり、6月28日から7月8日での総降水量が関西地方で600ミリを超える大雨となっりました。大阪府では、能勢で総雨量が498.5ミリを観測し、この豪雨により多くの被害が発生しました。
平成30年台風21号の被害状況 関西圏の主要都市別の事故状況(9月12日現在)
都道府県 | 車両保険 (商品車含む)台数 |
火災保険
証券件数 件 |
新種保険 (傷害保険含む)件 |
合計件数 |
滋賀県 | 2,503 | 14,422 | 137 | 17,062 |
京都府 | 4,606 | 40,570 | 361 | 45,537 |
大阪府 | 40,938 | 191,983 | 2,386 | 235,307 |
兵庫県 | 5,763 | 19,799 | 371 | 25,933 |
奈良県 | 566 | 8,309 | 59 | 8,934 |
和歌山県 | 4,131 | 22,297 | 182 | 26,610 |
その他 | 14,306 | 105,634 | 6,336 | 126,276 |
合計 | 72,813 | 403,014 | 9,832 | 485,659 |
出典:日本損害保険協会
(注1)「事故受付件数」には、事故に関する調査のご依頼のほか、各種損害保険の補償内容・お客様のご契約内容に関するご相談・お問い合わせなども含まれます。また、地震については、建物・家財の合計値です。(注)「事故受付件数」には、事故に関する調査のご依頼のほか、各種損害保険の補償内容・お客様のご契約内容に関するご相談・お問い合わせなども含まれます。
(注2)「調査完了件数」には、調査が完了して実際に保険金をお支払いした件数のほか、保険金のお支払いの対象とならなかった事案やご相談・お問い合わせなどを受け付けた段階で解決した事案などの件数が含まれます。
(注3)平成30年7月豪雨の支払件数。金額は見込みであり、今後修正されることがあります。
関西地方に甚大な被害を与えた9月の台風21号では大阪府では、4日昼前頃から猛烈な暴風雨となり、関西国際空港で最大瞬間風速58.1メートル、最大風速46.5メートルを観測し、年間を通じての第1位を更新しました。大阪府では暴風雨により自動車の横転や高層ビルの破損、京都府などでも住家被害等が多数発生しました。
来秋の保険料値上げ以降にさらに値上げはあるのか?
今回の値上げの背景は今年(2018年)の台風や豪雨被害ではない?
今回の保険料改定の背景は前回の改定以降である2013年~2015年の期間の損害発生状況をもとに損害保険料率算出機構が参考純率(保険料改定の目安)を改定しています。2013年は関東甲信越地方での大規模な雪災や、2015年に九州で大規模な台風被害などがあり保険金支払いが増加しました。ちなみに、それ以前の改定はというと、2012年までの保険統計データをもとに算出したものが2014年6月に金融庁に届け出されています。

つまり、今回の保険料値上げは今年起こった台風や豪雨の損害が原因ではなく、2013年~2015年の損害状況が反映されていいます、そのため、今年起こった台風や豪雨被害は再来年以降の値上げ材料になるということです。再来年以降もさらに保険料が値上げされることが予想されます。
火災保険の見直しはするべき?
冒頭でもお伝えしましたが、損害保険各社でつくる損害保険料率算出機構は、火災保険料の基準となる料率を住宅向けで平均5.5%引き上げると発表しました。損保各社は基準改定を踏まえて値上げ幅を検討し、2019年にも値上げに踏み切る見通しです。19年には地震保険料も上がる見込みで、契約者の負担感は増す一方です。
火事や台風、大雪被害などを補償する総合型住宅保険の保険料を平均5.5%上げる予定で、引き上げは14年以来4年ぶりです。そして、今年(2018年)の度重なる侵害により、その4~5年後にはさらに保険料が上がることが予想されます。
今年の被害が甚大なことから次回の値上げも5.5%以上が推測されます。・・・ということはあくまで推測ですが、今回(2019年秋の値上げ)と次回の値上げと10年以内で最低でも合計で10%以上は上がるのではないでしょうか?つまり、今が正に見直しをするチャンスといえます。
火災保険の見直しはいつがベストか?
現在火災保険の加入期間は最長で10年間です。住宅を取得されて今から新規で加入される方は物件取得のタイミングにもよりますが、保険料を少しでも安く抑えたいという方は保険料の上がるであろう来年秋までの加入がベストです。また、火災保険の見直しについてもベストは来秋までです。
ここで気になるのは、火災保険の見直しは途中で解約すると損になるのか?という疑問です。その点を解決するために火災保険加入時の話をします。火災保険は加入時に1年ごとに更新する加入方法や、最長で10年の長期契約も可能です。そして、長期契約をされている方は保険料の長期契約割引を受けています。保険料は年間保険料に長期係数(別図:長期係数表を参照)をかけて計算します。
長期係数表
2年 | 1.85 |
3年 | 2.70 |
4年 | 3.50 |
5年 | 4.30 |
6年 | 5.10 |
7年 | 5.90 |
8年 | 6.70 |
9年 | 7.45 |
10年 | 8.20 |