台風の災害時に絶対に知っておくべき保険の知識

この度の2018年最強の台風21号で亡くなられた方に心から哀悼の意を表し、多大な被害に遭われた方々に心よりお見舞い申し上げます。

この度の台風21号により、近畿エリアは広範囲で暴風雨に見舞われ、和歌山では観測史上1位となる57.4m/sの最大瞬間風速を観測した他、大阪でも1961年以来57年ぶりの45m/s超となる47.4m/sを記録しました。記録的な暴風雨によりライフラインの機能停止や屋根が飛んだり飛来物で窓ガラスが割れるなどの被害も相次いでいます。

大自然のもつ威力の前には人間の力などはかないものだと思い知らされると同時に、大切な資産を守るために私たちに一体何ができるのでしょうか?今回の被害を踏まえて今後も過去のデータが参考にならないような天災が訪れる心構えが必要になっていきます。

今回は最も多かった4つの台風による災害時に被害は火災保険でおりる?おりない?をできるだけわかりやすくお伝えいたします。

台風による水害(水災)で住宅が浸水した

こうした災害は火災保険の「水災」の補償がついていれば保険金が支払われます。しかし、水災の補償も最近は複雑で、各保険会社ごとにも異なります。

ちなみに火災保険における水災の保険金の支払要件は、一般的に下記のいずれかの支払要件に当てはまった場合に損害保険金が支払われます。損害保険金として支払われる金額は、損害額から免責金額を差し引いた残りの金額です。

支払要件
  1. 建物(壁や床・扉など)または家財(家具・家電・衣類など)のそれぞれの再調達価格(※1)の30%以上の損害を受けた場合
  2. 床上浸水(※2)または地盤面(※3)から45cm超える浸水による損害

※1:保険の目的(建物や家財)と同等のものを新しく建築したり購入したりする際に必要となる金額。再調達価額の名前は、保険会社によって「再取得価額」や「新価」、「保険価額」など呼び名が異なることがある

※2:建物内のフローリングや畳など床を超える浸水のこと

※3:建物の高さを測るための基準面をいい、家の基礎の最も低い部分のこと

支払われる損害保険金

損害保険金(保険金額が上限)=損害額 - 免責金額

火災保険によってこれらの全部または一部が基準になっています。このような違いによって、水災のときの火災保険金の支払いは異なります。ただ単に床下浸水をした場合は保険金の支払い基準を満たしません。

前述の通り、火災保険は様々な内容が出てきているため基準は各社異なり、上記の基準が損害保険会社で共通とは言い切れません。水災補償の支払いになるかどうかの見極めの一つの目安になるのでぜひ覚えておきましょう。

なお、水災で保険金を請求する場合、通常は罹災(りさい)証明が必要になります。罹災証明は風水災の場合には市区町村で発行されます。罹災証明を発行してもらうために実際の被害状況を証明する必要があります。そのため、必ず修理や片付けをする前の被害状況を写真に収めておきましょう。

台風による暴風雨で屋根が飛んでしまった

屋根が台風で飛んでしまったなどの被害は火災保険の「風災・ひょう災・雪災」という補償がついていると保険金が支払われます。しかし、昔の火災保険に加入されている場合、「風災・ひょう災・雪災」の補償がついていても20万円以上の損害でないと支払ってもらえないなど条件がついている場合がありトラブルになりがちです。

10年以上前に契約された火災保険にこうした条件が多く、せっかく「風災・ひょう災・雪災」が補償されていても支払条件がついていて結局保険金を支払ってもらえなかった、ということがないように一度加入内容の確認をすることをおススメします。

近所の家の屋根が飛んで自宅の壁に穴が開いてしまった

他人の家の屋根や瓦などが飛んできたりして被害を受けた場合、「物体飛来」の補償がついていると大半をカバーできます。

ここでふと頭に思い浮かぶことがあります。他人の家のものが飛んできた損害なので、他人に責任があるのではないか? ということです。

こうした場合一概に判断できませんが、今回のような想定不可能な天災が原因となった場合は相手の建物に過失があって物体が飛んできて被害を受けても不可抗力の事故と見なされ賠償責任を問うこと自体が非常に難しく、「自分の被害は自分の火災保険で守る」が基本的な考えになってきます。

相手のせいで損害を受けたという解釈は今回のような台風でのケースは成り立たない可能性が高く注意が必要です。

台風で土砂崩れが発生し自宅に土砂が流入してしまった

土砂崩れによる損害は被害状況によって「水災」の補償によって保険金が支払われます。建物や家財全体の損害状況を調査した結果、再調達価額(※1)の30%以上の損害があると認定されれば補償されます。

まとめ

所有している不動産がある地域にどのようなリスクが潜んでいるのかを知るためには国土交通省や各自治体が公開している「ハザードマップ」が有効です。ハザードマップでは、洪水や土砂災害、高潮などの自然災害で被害が想定される地域や被害の程度が知ることができます。

2015年(平成27年)9月の北関東の記録的豪雨では鬼怒川の堤防が決壊し、大規模な洪水が発生しました。この時の国土交通省の発表によると、住宅の被害は、床上浸水が3,147件、床下浸水は8,998件にも及びました(国土交通省「平成27年の災害と対応」)。このような災害が起こる可能性が高い河川に近い立地の場合は、水災の補償を検討したほうがよいでしょう。

また、2014年(平成26年)8月の豪雨では、広島県内で、がけ崩れが69か所、土石流が110件もの土砂災害が起こりました(国土交通省「平成26年の土砂災害」)。この時は山から離れていても、尾根の谷筋に沿って土石流の通り道となり、被害に遭った家屋もありました。前述の通り、土砂崩れの損害は「水災」によって補償できるのですが、加入者の知識不足もあり、ほとんどの世帯が未加入だったといわれています。このように、周りに海や河川、崖など無いような立地の場合でも「水災」の補償に注意が必要です。

ハザードマップを確認して、浸水被害や土砂災害が大きいと想定される地域に住んでいる人は、水災補償を外さないほうがいいでしょう。たとえ、水災による被害が小さいと想定される地域に住んでいても、家の基礎の高さが低かったり、1階部分が半地下になっていたりする建物は床上浸水の可能性もあるため、補償を外す場合は慎重に判断しましょう。

この記事を書いた人

充史

住宅業界専門のファイナンシャルプランナーとして活動中。
常にお客様の立場に立ちながら、絶対に無理しない資金の予算診断には定評があります。
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